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【広川町元気塾】レポートVol.2 ひろかわまちじょ第3回「総合デザインの原則」

10月28日(土)は、あなたの“好き”を活かす女性の明るい未来応援プロジェクト「ひろかわまちじょ」の第3回目の講座でした。

最初の30分を使って、2回目のフィールドワークのおさらいと、7回目の報告会へ向けて実行委員会からの提案の説明がありました。

続いて、ブンボ株式会社 代表 江副 直樹さんより、「総合デザインの原則」というテーマでお話しいただきました。
江副さんは、商品開発と広報計画を柱とする事業プロデューサーという立場で、農業、商業、工業、観光、地域活性化など、多分野において事業戦略提案とその実現を行うことをされています。
グッドデザイン賞、JIA建築賞、毎日、読売、朝日広告賞など受賞。佐賀県生まれの北九州育ち、12年間の朝倉郡東峰村暮らしを経て、現在は大分県日田市在住です。
 
事業プロデュースという仕事

江副直樹さん元は、コピーライターでした。コピーライターは、広告の中の文章だけを考える仕事です。それはそれで楽しいんですが、一方で商品そのものには手を出せない。いいところをなんとか探して褒めなきゃいけないので、どこかにストレスを感じていました。

また、九州以外に住んだことがなくずっと田舎暮らしです。こうして生活重視で暮らしていると、衣食住全てにおいて、もっとこうなったらいいんじゃないかという消費者目線で考える。

仕事で自分の好きなものを、みなさんに喜んでいただきながら作れるんじゃないかと、20数年前にこの仕事を始めました。

実際にどんなことをしているのかというと、実はいろんなことをしています。

 
技術とデザインは相互交換するもの

一番最初にプロデュースをしたのは、佐賀県の建具屋のプロジェクトです。建具屋は、障子とかそういうものを作る職人です。私の仕事は、企業、地域、農業、観光など様々ですが、元気にする方に行きたいと思うわけです。彼らは30代の4人グループでした。世の中のスタイルが洋風化することによって仕事が減っている。また、仕事の流れでいうと、1軒の家が建つときに工程の一番最後、予算が使われた後に、これぐらいの予算で障子とドア、となる。なかなか儲からないわけです。

彼らは繊細な木工技術を持っています。彼らの技術をもってすれば、家具でもなんでも作れるわけです。時代の流れにおいて、たまたま木工技術を使って建具を作っているだけで、時代によって作るものは変わっていっていい。その辺を説明して、じゃぁ、まずはベーシックな家具からやりましょう、となりました。
このときの大きな変化は、デザイン。それまでは、技術屋は自分が思った通りに作れてしまう。だから、つい、デザインも凝ったものを作ってしまう。でも、それは違っていて、デザイナーというのはそれだけを考え、その感覚を磨いていた人たちなので、その方々の提案というのは聞く価値がある。私は技術とデザインというのは相互交換するものだと思っています。つまりデザイナーだけで考えても、彼らは技術がないので作れない。一方、職人さんたちはデザインをもらえばすごくいい形に作れる。お互い助け合った方がいい。どっちが上じゃない。

面白いことがあります。シンプルな家具のデザインを見せたとき、彼らは「こんなに簡単でいいのか?」と言ったんです。彼らには技術があるので、これだけのシンプルな家具は簡単に作れてしまう。すると、簡単にできるものは価値が低いという思い込みがあるんですね。全くユーザー目線ではない。そこらあたりの意識の修正やコンセプトの修正を、都度都度行っていきました。

そうして仕事をしていくと、徐々に彼らのうわさが広まっていき、メディアへ掲載されるようになりました。最後にたいてい「これからの夢は?」と聞かれますが、NHKが取材に来たときに「住宅をやる」と言ってください、と言ったんですね。彼らは「まだ1軒も建てたことがないのにそんなこと言えませんよ」と。押し問答の末、押し切りました。こうしてできた1軒目の家が『唐津山・積み木の家』です。木の家で壁紙は一切なし。引き戸や、キッチンもステンレスの部分以外は作りました。ほとんどのところが彼ら、建具屋の技術でできています。
 
その他、たくさんの事例をご紹介いただきました。ブンボ株式会社のホームページで紹介されているものもありますので、ご覧ください。
 
コンセプトがすべてを決める

最も大事なのは商品やサービスです。デザインを考えて、いいものを作る。そして、それを情報発信します。「知らないものは買えない」し「知らないところには行けない」。今は、情報発信がとても重要になっています。これに空間を組み合わせる。これを総合デザインと呼んでいます。
総合デザイン、商品、情報、空間の3つ丸が重なった真ん中がコンセプト。これが大事で、すべてを決めます。
 
いいものをつくってこれでもかというくらい情報発信

販路がないから売れないのではなく、いいものをつくって情報発信すれば、向こうからオファーが来ます。

久留米の石鹸「椿うるおい」は1万円します。高いと思いますか?1万円はそれ程出なくても、5千円、3千円はけっこう売れます。今までの考え方は安いものをたくさん作るでした。そうすると原価割れになります。お金は、あるところにはあります。意識を変えると変わります。

みやま市の筒井時正玩具の線香花火も1万円します。大人の贈り物ですね。結婚式の引き出物に花火です。花火は夏のものですが、こうなると1年中出ることになります。花火業界は古い業界で、問屋のしばりがあります。問屋が作るものを決める。問屋の向こうには小売、その先にはお客さんがいます。売れるものを作ると、お客さんがお店に求める。ものがないとお店が問屋に問い合わせる。今度は問屋が相談に来るようになります。自分たちが作りたいものを作れるようにもなるわけです。

SONYの4Kハイレゾを映像で紹介するのに、この線香花火にオファーが来ました。CMを作ったら2千万円くらいのコンテンツです。

情報発信は、やってもやっても知られない。これでもかというくらい発信してちょうどよいくらいです。


ひろかわまちじょ
 
住んでいる人が誇りを持って楽しそうに生きるまち

移住、定住は日本全国で取り組んでいますが、補助を出したりするわけですが、あれでは人は来ない。そもそも何もしなくてもみんなが来たがるようなまちを作らないといけない。それは、住んでる人が誇りを持って楽しそうに生きていること。楽しそうに生きるためには、経済も無視できない。その稼ぎ方が魂を売るようなものではない。我慢して仕事をするのは違う。幸せになるために仕事をするのだと思います。

地域と関わる機会はたくさんありますが、「みなさん、やりましょう!」では誰も動きません。何かやっていてやる気のある人に話をします。待ってるだけではそういう人は来ないので「一本釣り」ですね。誰かが成功すると、あのやり方でできるなら自分もできるかもしれない、と思って後に続きます。すると点だったものが線に、そして面へと広がっていく。今まで手掛けていて、うまくいってるところは、このやり方です。


子ども時代は、凄くいたずらで困った子ども、一方でとても繊細だったという江副さん。『変態』は褒め言葉だそう。


「言い方を変えると、未だに子どもなんですね。でも、常識の中ではブレイクスルーは起こりません。」

江副さんによる次回4回目の講座『未来設計づくり』も楽しみです。


ひろかままちじょ